子どもが話せなくなる「場面緘黙」って?その特徴と支援方法を解説

場面緘黙(ばめんかんもく)とは、特定の状況や場所で話すことができなくなる状態を指します。家庭では普通に話せるのに、学校や公共の場では声を出せないなど、環境によって話す・話さないの差が激しいのが特徴です。
場面緘黙は一般的に幼児期から小学校低学年で見られ、特に内気な性格の子どもや、人見知りが強い子どもに多く見られます。ただし、単なる恥ずかしがり屋とは異なり、本人が話したいと思っていても、強い不安や緊張により言葉を発することができなくなるのが場面緘黙の特徴です。
目次
場面緘黙の原因は?
場面緘黙の明確な原因は完全には解明されていませんが、主に以下のような要因が関係していると考えられています。
1. 不安や恐怖心の影響
場面緘黙の多くの子どもは、強い社交不安を抱えていることが分かっています。知らない人と話すことや注目を浴びることに対する恐怖が、言葉を発することを妨げてしまいます。
2. 遺伝的要因
親が社交不安や対人緊張を抱えている場合、子どもにも同じような傾向が見られることがあります。これは、性格や気質が遺伝する可能性があるためです。
3. 環境要因
過去の経験や育った環境も場面緘黙に影響を与えることがあります。例えば、厳しいしつけや過度なプレッシャー、家族以外との交流が少ない環境などが影響することがあります。
4. 言語の問題
バイリンガル環境で育った子どもや、言語発達がゆっくりな子どもは、新しい言語や環境に適応するのに時間がかかり、場面緘黙のような症状が現れることがあります。
場面緘黙はどこに相談すればいい?
場面緘黙が疑われる場合、早めに専門機関に相談することが重要です。以下のような場所で相談が可能です。
1. 児童発達支援センターや療育機関
児童発達支援教室などでは、子どもの発達の専門家が対応し、個々の状況に合わせた支援を行います。場面緘黙の特性に応じたアプローチを学ぶことができます。
2. 心理カウンセラー・臨床心理士
心理カウンセラーや臨床心理士がいる機関では、子どもの不安やストレスを軽減するためのアプローチを提供してくれます。
3. 小児精神科・児童精神科
場面緘黙が強い場合、専門の医療機関で診察を受けることが推奨されます。医師の診断を受けることで、適切な対応方法を知ることができます。
4. 学校の先生やスクールカウンセラー
学校生活での困りごとが多い場合は、担任の先生やスクールカウンセラーに相談すると、適切な支援を受けやすくなります。
場面緘黙と発達障害の関係性
場面緘黙と発達障害には関連性がある場合がありますが、必ずしもイコールではありません。特に、以下の発達障害と関係が深いとされています。
1. 自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症の子どもは、場面緘黙のような症状を示すことがあります。特に、社会的なコミュニケーションが苦手な子どもは、特定の状況で話すことが難しくなることがあります。
2. 注意欠如・多動症(ADHD)
ADHDの子どもは、場面緘黙とは異なる特性を持ちますが、環境によって適応が難しい場合があり、結果として話せなくなることがあります。
3. 学習障害(LD)
言語処理に困難がある子どもは、適切な言葉を選ぶのが難しく、結果として話すことを避けることがあります。
これらの発達障害を持つ子どもが場面緘黙を併発することもありますが、すべての場面緘黙の子どもが発達障害を持っているわけではありません。そのため、専門機関でしっかりと診断を受けることが大切です。
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まとめ
場面緘黙は、単なる恥ずかしがり屋や内気な性格とは異なり、不安や環境要因が関係する症状です。特定の場所や状況で話せなくなることが特徴であり、適切な支援を受けることで改善が期待できます。
もしお子さんに場面緘黙の傾向がある場合は、無理に話すよう促すのではなく、安心できる環境を整え、ゆっくりとサポートすることが重要です。必要に応じて専門機関に相談し、適切な対応を取ることで、少しずつ話せる場面を増やしていくことができます。
場面緘黙の子どもにとって大切なのは、安心して自分のペースで話せる環境を作ることです。焦らず温かく見守りながら、適切な支援を行っていきましょう。